相続手続きをしたいカテゴリー
相続手続きは何度も経験するものではなく、どこから手を着ければ良いか分からないという方も多いかと存じます。ここでは、一つ一つポイントごとに考えてみましょう。
遺言書の有無を確認する
遺言書の有無で、その後の相続手続きは大きく変わります。故人は遺言書を遺していらっしゃいましたか?
さらに、遺言は大きく自筆証書遺言と公正証書遺言とに分けられます。 遺言の種類の違いによっても、手続きが変わってきます。
ここでは、主に遺言書のない場合の相続手続きについて確認していきます。
相続財産の調査
相続財産がどれだけあるのか調査することが重要です。相続財産とは、相続の対象になる遺産のことです。相続財産は現金や預貯金、不動産などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含みます。日々の生活に影響のない県外の別荘用地等は、気がつかず手続きから漏れることがあります。故人の全ての財産を把握している機関はありませんから、ご自宅に保管されている権利証、通帳等の書類のほか、身近な人が故人から聞いていたことも重要です。調査については、不動産であれば名寄帳、銀行などの預貯金等は、通帳や残高証明書など、必要に応じ関係機関へ書類を請求し、それらの書類を基に相続財産を確定します。
相続に対する態度の決定
相続が開始した場合,相続人は次の三つのうちのいずれかを選択できます。プラスの財産だけを引き継ぐことはできません。
- 相続人が被相続人(亡くなった方)の土地の所有権等の権利や借金等の義務をすべて受け継ぐ単純承認
- 相続人が被相続人の権利や義務を一切受け継がない相続放棄
- 被相続人の債務がどの程度あるか不明であり,財産が残る可能性もある場合等に,相続人が相続によって得た財産の限度で被相続人の債務の負担を受け継ぐ限定承認
相続人が,2の相続放棄又は3の限定承認をするには,家庭裁判所にその旨の申述をしなければなりません。
相続の開始から3ヶ月以内に何もしなかった場合や、相続財産を処分した場合は、単純承認したとみなされ、一度単純承認すると、撤回することは出来ません。
相続人の調査
誰が相続人になるかを特定します。法律上、相続人となれるのは一定の親族と決まっていますので、被相続人の出生から亡くなるまでの戸籍をたどっていくことで、相続人が誰なのかを確定していきます。相続人を確定させるためには、
1. 亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍
2. 相続人全員の現在戸籍
3. 子供がいない場合は、故人の両親の出生から死亡までの戸籍
が必要になります。
遺産の分配を決定する
遺産の分配割合は、基本的に民法によって定められています。民法では、各ケースに応じて、法定相続人と法定相続分が定められているのです。
これと異なる割合で遺産を分配したい場合には、生前に遺言書を作成しておく方法のほか、相続人全員が参加して遺産分割協議書を作成する方法があります。協議が整わない場合は、家庭裁判所で調停をし、それでも解決しない場合は、裁判所の審判により、最終的な結論を求めることになります。
財産の名義変更
遺産分割協議がまとまったら、不動産や預貯金等、財産の名義変更をします。たとえば、不動産であれば管轄の法務局へ不動産の名義変更の申請をします。登録名義を変更しておかないと、不動産の売却が出来なかったり、また、さらに相続が発生した場合に、手続きが面倒になったりします。
預貯金等は解約して分配します。
相続税の申告
遺産相続をするとき、相続税についても忘れてはいけません。特に近年相続税の基礎控除が大きく引き下げられたことにより、相続税を支払わなければならない家庭が増えています。
相続税の申告は、被相続人が死亡した時の住所地を管轄する税務署に相続税の申告書を提出します。申告期限は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内となっています。
申告期限までに申告をしなかった場合や、実際にもらった財産の額より少ない額で申告した場合には、本来の税金のほかに加算税がかかりますので注意してください。相続税の納税期限は、申告期限と同じく、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内となっています。