生前対策をしたいカテゴリー
■生前贈与■
大きな目的は以下の2つとなります。
【1】争族対策
人間、財産のことになると争いが勃発することは往々にしてあります。
特に相続人にトラブルメーカーが存在すると、公平な遺産分割協議は望めません(注.遺産分割協議成立には、相続人全員の合意が必要)。
そこでその対策となるのが、1つは「遺言(こちらを参照)」、もう1つが「生前贈与」となります。
生前に財産を贈与すると、その財産は相続の手続きから外れるため、帰属については争いが生じません。
【2】相続税対策
相続税は、被相続人(死亡した者)が相続発生時(死亡した日)に所有している財産について課税されます。ということは、生前に財産を移転してしまえば、その移転財産については相続税が原則課されません。
しかし日本国もそのような事を無条件で許してくれる訳がなく、生前の移転財産に対しては贈与税が課されます。贈与税は相続税よりも高税率で設定されているため、一見すると生前贈与は損するようにも感じます。
なぜ税金対策になるのでしょうか!?
その答えは・・・
1.暦年贈与(一般的な贈与です。特殊なものは後記の相続時精算課税贈与)の場合、贈与を受ける人一人当たり年間110万円までは非課税のため、その範囲内で毎年少しずつ財産を贈与すれば贈与税も不要となります。
2.相続税は所有財産について「1時期に全額」で課税されるが、贈与税は同じ年に所有財産を全額贈与しない限り、上記の110万円非課税が毎年使えるうえ、1回当たりの贈与額を抑えれば低税率での課税に留まります。
3.以下の優遇規定を利用することができます(しかも条件が適合すれば、都合の良い任意の時期に!)。
(1)おしどり贈与
婚姻期間20年以上の夫婦間で居住用の不動産または居住用不動産の取得資金を贈与した場合、2000万円まで非課税になります。
※要注意
・申告が必要です。
・非課税の枠は同じ配偶者から一回しか使えません。
・民法改正により、この贈与については特別受益としない贈与者の意思が推定されます。
(2)教育資金贈与
30歳未満である子・孫が、その父母や祖父母から教育資金の贈与を受けた場合、1500万円まで非課税になります。
※要注意
・取扱金融機関を通じて申告する必要があります。
・現在においてはこの規定の対象は、令和3年3月31日までに贈与する必要があります。また前年の合計所得金額が1000万円超である受贈者は適用除外です。
・受贈者が30歳の誕生日に未使用がある場合、一定の場合を除いて、その残額をその誕生日に贈与されたものとして、贈与税の課税対象になります。
・贈与者の死亡日前3年以内に贈与を受けた場合は、一定の場合を除いて、贈与者の死亡日における未使用額が相続税の課税対象になります。
(3)結婚・子育て資金贈与
20歳以上50歳未満である子・孫が、その父母や祖父母から結婚・子育て資金の贈与を受けた場合、1000万円まで非課税になります。
※要注意
・取扱金融機関を通じて申告する必要があります。
・現在においてはこの規定の対象は、令和3年3月31日までに贈与する必要があります。また前年の合計所得金額が1000万円超である受贈者は適用除外です。
・受贈者が50歳の誕生日に未使用がある場合、その残額をその誕生日に贈与されたものとして、贈与税の課税対象になります。
・贈与者の死亡日における未使用額が相続税の課税対象になります。
(4)住宅取得等資金贈与
20歳以上である子・孫が、その父母や祖父母から住宅取得等資金の贈与を受けた場合、700万円~1500万円(個人間で中古住宅売買の場合、300万円~1000万円)まで非課税になります。
※要注意
・現在においてはこの規定の対象は、令和3年12月31日までに売買契約する必要があります。また前年の合計所得金額が2000万円超である受贈者は適用除外です。
・住宅の床面積50㎡~240㎡のみ対象です。
・住宅ローンの返済の贈与資金は適用除外です。つまりは売主や施工業者への支払前に、贈与を受けている必要があります。
★生前贈与のデメリット★
①贈与税がかかるおそれがあることに加え、受贈財産を未使用で放置すると相続税対策として贈与が検討されて
②特別受益として扱われること
③遺留分の計算に際して相続財産の一部として計上される可能性があること
④不動産の贈与の場合、所有権を移転する登記の際の登録免許税が相続の場合より高いことに注意。